奏でる場所~SecretMelody~
~拓斗side~



「ナイス!拓斗っ!!後半もこの調子でいけよー?」



「はい。ありがとうございます。」



前半が終わり監督からの声がかかる。



ふんっ。



相手チームめ、俺が年下だからってなめんなよ?



痛い目合うぞ?



俺のハットトリックで3点が入り、相手も2点決めたので、今は1点差だ。



これから後半、どう攻めてくるかだな…。



「ピーーッ!後半戦を始めます。」



―――――――――――――――――――



はぁ…。はぁ…。



さっきから何なんだよ。



俺にばっかマークしやがって。




しかも2人で!!



あの先輩とかガラ空きじゃねーか!



おまけに逆転されたし。



もー…。



こっちは勝たないといけねーんだよっっ!



いきなりスピードをあげ、ディフェンスを振りきってパスをもらう。



そして、ドリブルで攻めていった。



「「拓斗いっけーーっ!!!」」



ベンチから親友達の声が聞え、さらにスピードをあげる。



すると、



「おいっ!何でもいいからあいつを止めろっ!!」



相手の焦った声がする。




は?止められてたまるか。




俺が最後の一人を抜こうとした時。




突然バランスが崩れる。




え??




俺はドサッと地面に崩れおちた。




何が起こったのか分からないでいると、強烈な痛みが足を襲う。




痛って…。



「ピーッ!大丈夫か?」



審判の声、それに、




「ひきょうだぞ!!足を蹴るなんて。」




先輩の声。




足を…蹴る…?




どういうことだ?



相手があせって俺を止めるために、けったってことか?




ぐるぐる考えながら立ち上がろうとする。




っ!!




クソ、痛くて、立てねぇ…。




「ピッピーッ!おい誰か肩かしてやれ。」




同じ1年が走ってきて、肩を貸してくれる。




だめだ…。




俺が…。




俺が決めないと駄目なんだよ。




勝たなきゃなんねーのに!!




くやし涙をうかべながら肩を借りてなんとか立ち上がる。




このやろー…。




ふざけんなよ…。




俺はベンチに戻り、手当を受ける。




俺の足首はかなり腫れていて、はっきり言って走れる状態じゃなかった。





くそっ…。




それを見た監督は小さな声で呟き、過ぎて行く。




「これじゃあ試合は無理だな…。」




…っ。




俺は足にテーピングを巻き、冷やしながら試合を見る。




いくらなんでも監督には逆らえねぇ。




でも、俺が黙っていると思うなよ。




「右!右サイドが開いています!」




声の限り叫ぶ。




そのまま、観戦が続いた。




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