奏でる場所~SecretMelody~
―――コンコンッ


宙の病室のドアを軽くノックする。



「はーい。どーぞ。」



いっつも通りの宙の声。



ガラっと扉を開いて中に入る。



「どちら様…ってハルくん!?」



「よぉ、宙。どうや?怪我の具合は。」



「んー、まだ歩けないけど、痛くはないよ!!それより、ハルくんは?」



「俺は今日たまたま体調良くってさー!!」



まだ、しんどくもなって無いし、咳も出てないからな!



「そうなんだー!よかったねー。」



「おう!ところで今日は誰が来るん?」



「えっとねー…拓斗と、颯君が来るはずだよ~」



「え、奏は?」



我慢するって思ったばっかやのに、気にしてしまう俺。



…ほんま弱いな。



「奏はピアノの練習があるんだって~。」



「そー…なんや。」



「あれー?なになに?何か、ハルくんガッカリしてるー?w」



ニヤニヤした顔で聞いてくる宙。



くそっっ!



「してへんわ!!」



「えー笑笑」



そりゃ、ちょっとは、してるっ…けど…っ。



あーもう…。



あかんわ、俺。



奏の事好きって確信してから、どんどん可笑しくなっていってる。



はぁ…どーしよ…



「あっ!そろそろ検査の時間だっ!」



「なんや、いきなり…。」



「ごめんごめんw」



「じゃあ、俺戻るわな。」



「うん!」



宙と別れ病室に向かう。



外科を離れ、内科の方に着いた時。



ゼェ…ゼェ…



やべっ!



息が荒れて来た。



喘息が…。



「ゲホッ…。ゲホゲホッゴホッ」



ガンッ…



廊下に勢いよくしゃがみ込む。



「ゲホッゲホッ…。ヒュー…」



やばっ…。



あ!吸入器…ッ。



俺はポケットから吸入器を取り出す。



そして、俺は無我夢中で息をゆっくり吸った。



…はぁ…



だんだん治まってきた…



「ゲホッ…ヒュー…ヒュー…」



……めっちゃいきなりやったな…



こんな突然発作出るとか、久しぶりや…。



俺は確実な病気の進行を感じていた。



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