奏でる場所~SecretMelody~
~陽輝side~


ん…奏?



あれ?今、奏おらんかった?



夢??



……ヤバイな俺…



とうとう幻覚みえだしたか……?



「あー!!くそっっ」



俺は前髪をくしゃっとして上げる。



ムカムカがとまんねー。



………。




てか、暇やし。


宙の所でもいきますかっ



俺は重い体を動かし、廊下にでた。




――――――――




「あ、ハルくんいらっしゃーい♪」



「もー病院暇過ぎて笑」



「そんなこと言ったら、あたしなんて歩く事もできないんだぞ?」



「まぁ、そーやな。」



…そーやった。




俺は、兄妹みたいな存在の宙さえ、守ることが出来ひんかったんや…。



…はぁ…。



これじゃ、おんなじ事の繰り返しや…。




俺は、いつになっても守ることが出来ひんのやろうか。



そんなん、嫌やなー…



「どーした、ハルくん?」



「いや、別に…」



「そーいや、今日ね、奏来たんだょ!!奏が言ってたんだけど、ハルくんその時寝ていたみたいだね。」


「え!?そーやったん!?」


……会いたかったなぁ…



てか、起こしてくれたっていいゃん!?



「で、伝言頼まれたんだけど、『明日も陽輝の所にお見舞いしに行くから!』って」



…!



明日になったら奏に会える!!



急に明日が楽しみになった!



「ねぇ…ハルくんって、奏が好きなの?」



「へ?」



な…なんや、いきなり…



「どーなの?」



「…好き…かな?」



…俺は、奏の事、好きやで?



でもな…。



「ほんと!?じゃあさ、奏に気持ち伝え無いの?」



「伝えへん。」



「え?」



…伝えたくても、伝えられへんねん…



俺は、気持ちを殺し続けな、あかん。



「無理…やねん…。」



「どーいう―――――…?」



「ははっそれよりさ、宙、昨日な―――」



俺は無理やり話を変える。



もちろん、宙はそのことが不満らしく、少し、怒った顔をしていたが、拓斗の話を持ち出すと、急に笑顔に変わった。



…いいな、神様に恵まれた“運命”。



俺には、不幸になる疫病神しか、ついてないというのに…な…。
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