奏でる場所~SecretMelody~
~奏side~



陽輝が部屋を出て行ってからもあたしは音楽室にいた。



陽輝…。



奏も悪い事をしたな…



陽輝は一生懸命考えて答えを出してくれたんだから。



振られたけど…



受け入れなくちゃね…。



辛いけど、苦しいけど…



決して陽輝と会えなくなるわけではないし。



ずっと片思いっていうのもありかもしれない。



…奏ほど、幸せな片思いいないよな…



一番側に入れるもん。



奏と宙と陽輝と坂下と立花。



ずっと5人でいるから。



皆の笑顔を側で見守ることが出来る、最大のポジションだ。




“奏”は陽輝が大好きだ。



“私”も陽輝が大好き。




この気持ちを隠す必要はない。




両方とも、“奏”の…“私”の…強い想いだから。



本当の気持ちだから。



奏は奏なりの答えを出そう。




そんな想いを胸に、スラスラとピアノを奏でた。



そして、



――――ガチャ…



…あれ?




帰ってきたのか…陽輝。




「おかえりなさい!」




「…っ!まだおるとは思わんかったわ。でも良かった…」




「…え?」




「なぁさっきから相談ばっかりで悪いんやけど…」




奏はピアノの手を止め、陽輝の言葉に耳を向けた。
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