奏でる場所~SecretMelody~
「なぁ、俺、もう嫌われてもーたよな…?」



陽輝がつぶやく。



違う…違うよ…。



私は…
陽輝の事、大好きなんだよ?




だけど、言えないだけ。



「そんなこと…ないと思うよ…?」




ピアノ少女として…




陽輝の想いを聞いて、涙が止まらなかった。




何よりも、奏のことをおもってくれてたんだって。



嬉しくて。




だけど、こんなに悩ませてたんだって苦しくて。




「俺が…俺が喘息じゃなかったら…



アイツを悲しませんですんだのに。



もっと…強かったら…



抱きしめてやれたのに。




俺は…アイツの事が…大好きっ…やのに…。」



っ!!



私も…大好きだよっ…。



ーーーそう、思ったら自然に体が動いていた。




「私も…好きだよ…。」



陽輝を後ろから優しく抱きしめる。




「えっ…?」




「もう…苦しむなっ…。病気も全部含めた陽輝が…大好きだからっ…。」




「か…なで…?何で…奏が…。」




「隠してて…ごめんな?」



「嘘…やろ?」




「こっち…来て?」




私は陽輝をピアノのところまで連れて行き、イスに座った。




ーポロンッ♪



そして、涙を流して、あの曲を弾いた。ーー


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