奏でる場所~SecretMelody~
~颯side~


…はぁ…はぁ…。



思わず逃げてきてしまった…。



ここは寮の近くの公園。



さすがに皆来ないだろーな…。



「ハハッ。俺、カッコ悪りィ…」



1人呟いてみる。



その声は誰にも届かないが。



俺はずっと奏ちゃんが好きだった。



陽輝よりもずっと前から。



それなのに…な…。



うすうすは気付いていた。



奏ちゃんの瞳に写っているのはいつも。



俺じゃなくて…陽輝だったから。



俺は公園のベンチに寝転ぶ。



――すると。




「颯ー!!!」



声。



この声は…陽輝?



パッと起き上がり、辺りを見渡すと、陽輝がこっちに歩いてきていた。



こっちにはまだ気づいていないらしい。



てか



なんで陽輝が!?



ま、いいや。



いずれは戻るし。



俺はまた、ベンチに寝転んだ。
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