奏でる場所~SecretMelody~
~陽輝side~



くっそー…。



颯の奴、勝ってに奏を連れ出しやがって。



そのくせ、『奏ちゃんが寂しそうだから来い』って



メール送ってくるってなんやねん!!



はー…。



とにかく急がなっっ!!



すると…ドンッ!



誰かとぶつかった。



…って…ん?



「奏!!?」



「…陽…輝?はるきぃー…。」



そう言って急に抱きついてくる。



あわわっ…



やけに大胆やなー…。



と思ったら。




1人の男が向こうから走ってきた。



とたんに奏が慌てだす。



??



どういうことや?



「や…やっと追い付いた…



何で逃げるんですかー?



“天才バイオリニスト”の米原奏さん。」



“天才バイオリニスト”…?



奏はピアノじゃ…?



その言葉を男に言われた所為か、奏はふるえてる。



何か…あったんかな?



ま、とりあえず奏が嫌がる奴は許さんって事で。




俺は奏を俺の後ろにし、男を睨みつけた。




「な…何だよっ…!!」



「俺の女に何さらし飛んじゃコラぁ…」



これがもし、漫画だったとしたら俺の後ろには



“ゴゴゴゴ…”



という効果音がついていただろう。



「うわぁぁああぁ…」



…よわ。



男は後ずさりをした後、すぐに逃げていった。



なんや、睨んだっただけやのになぁ?




「奏?大丈夫か…?」



なにがあったかよーわからんけど。




「あの…“私”…っ!!」



…“私”??



奏の一人称…変った?



何で…。



「う…ゲホッゲホッゲホ…ゴホッ…!!!!」



わ!やべっ!!



発作でてきた!?



「陽輝…?陽輝!!!?」



俺は地面に倒れこむ。



「ゲホッ!!ゴホゴホッ…」



その時、トイレから戻った颯が駆けつけた。



「陽輝…!?」



俺はもうろうとしながら病室に運ばれ、そして意識を手放した。
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