奏でる場所~SecretMelody~
「陽輝ー?入るぞー!」



ガラッ!



扉を開けて中に入ると陽輝は吸入の最中だった。



…しんどそうで、見ていてつらいな…



でも、陽輝くんは一瞬で表情を変え、奏の笑顔を振りまく。



決して、弱みをみせようとしない。




「おわっ!!奏!今日、はやない!?



ちょ、まって!!後2分で“コレ”終わるし!」



「…おー、おぅ…。大丈夫か?」



「んーまぁな。あ、宙、無事に退院したか?」



「うん!先に寮に帰ったよ!」



「そっか!よかった。」



その時、シュウゥ…



「あ、終わったww」



陽輝の吸入が終わり、看護師さんが機械を片づけて部屋を出ていった。



すると、ギュッ。



!?!?



「…は…るき…?」



陽輝の急に抱きしめられた。



あー…。もう、心臓の音うるさいよ。



絶対今、顔が真っ赤だッ…。



恥ずかしくなって、陽輝の胸に顔を埋める。



「奏…笑って?俺、奏の笑顔大好きや。」



「…どーした?急に…。」



「何も…ないよ…。奏に笑ってて欲しいねん…。」



…?



まるで、もう、見る事が出来ない言い方だなー?



気のせいかな…?



ッ!!



陽輝がいきなり奏のほっぺをツンツンしてきた。



「…笑って…?」



「ふふっ…。バーカ…。」



――――――



あなたが少し寂しそうに見えたのは、きっと…



気のせいだ。




―――――――
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