奏でる場所~SecretMelody~
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月日は流れ、あっという間に一週間後。



明日、俺はここから居なくなる。



今日が最後の日。







この一週間、奏とはろくにあっていない。



まぁ、ほぼ俺の体調の所為やけど。



でも、今は返ってよかったと思う。



だって、昨日まで普通やった彼氏が、急に“きらい”とか、言い出したら、あきらかおかしいもんな。


泣き過ぎた目は乾き、真っ赤に充血している。



もう、涙はでないだろう。



そう。



俺は今日…。



最初で最後の…最大の嘘をつきます



ごめんな…。



身勝手な俺を許してな――――――。



夕方6時、俺はそっとスマホの通話ボタンを押した。



相手は…。



『もしもし…?陽輝!!体調は…』



「…大丈夫やで。」



『よかったー…、で、どうしたの?』



「奏…?突然やけど…別れよう。…俺ら。」



2人の間に沈黙が流れる。



『――え?今、なんて…?』



「ごめん、奏。」



『なんで!?急にそんなこと…。』



「俺な…。もう…奏の事、好きじゃない…ねん…。」



ごめん…ごめんな…。



『嘘…だろ…?』



「ほんまやで。じゃ、もうお見舞いにもこんでええから。」



――ブチッ!!



俺は奏の返事を聞かずに電話を切った。



奏の震える語尾が痛々しくて…



嗚咽もまじってて…



俺がもう、聞いてられへんかった。



それに、切らな、綺麗に別れられへんと思ったから。



…残酷や。



最低すぎるな、俺。



出ないと思っていたものが、俺の頬を伝うのが分かった。





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