奏でる場所~SecretMelody~
~奏side~


「…ごめん。奏ピアノ弾いてくる…。



ちょっと…頭を冷やしたい…。」



陽輝の真実が分かって、数時間…。



奏達は寮に戻り大広場で4人、何も喋らずただ座っていた。



やっぱり奏は楽器を触っていないと駄目だ…。



だけど…。



あの“音楽室”はいけないや。



いや、“行っちゃいけない”気がする。



陽輝と想いが通じ合っていない今…。



陽輝がいないのに…あそこには足を向けようと思えない…。



なので、奏は寮の談話室に向かった。



談話室のピアノはちょっと古いけど、いい音がする。



今までは皆がいたから、触れることはなかったけど、



寮の皆は今、学校だし。



ポロン♪


頭に一瞬で想いついたあの曲を弾く。



~♪~♪~♪



曲が進むにつれ奏の視界が涙でゆがむ。



「…ふぇ…ん…。陽輝…。



なんで奏の事…嫌いになっちゃったの?



何で、何も言わずに行っちゃうんだよぉ…。」



涙があふれて何も見えなくなる。



奏は手を止めた。



すると、後ろから誰かの手が奏の頭に乗った。



「…宙…。」



「奏…。振られた理由…知りたい?」



「…え?」



知りたいに決まってるじゃん。



「知りたいよね…そりゃ。」



「う…ん。」



「だったら…直接聞きに行けばいいじゃん!」



「え…?」



…何…言ってるの…宙…。



「だーかーらー、もうすぐ夏休みでしょ?



あっちからこれないならこっちから行くしかないじゃん!!」



「で…でも、連絡とれないのにどうやって…。」



「それは…あたし達の“絆”の見せどころ。…ね?」



「「俺達も協力する!!」」



そう言って、立花と坂下も部屋に入ってくる。



「よしっ!!じゃ、さっそく始めますか!!」



それから奏達は、病院、学校を手当たり次第にあたり、情報集めを始めた。



…まってて、陽輝…。



奏は真実を知りたい…。



陽輝は奏の事を嫌いになっても、



奏は嫌いになんてなれない。



初めての恋をこんな形で終わらせたくない。



奏達の“絆”は一生物だって証明してやる!!








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