奏でる場所~SecretMelody~
よく考えたら、2人で一緒にこの部屋に入ったことがなかったな…




それに、久々だ。



陽輝が大阪に行ってから、奏はこの音楽室に足を踏み入れていなかったから。



「奏、これ、持ってて。」



そういって奏の渡して来たものは“バイオリン”。



「え?何で…?」



「奏…まだ弾けるよな、バイオリン。」



「う…うん…たぶん。」



陽輝何をする気だ??



奏のバイオリンなんかをどうして…?



陽気本人はピアノの椅子に座り、鍵盤に手をそろえた。



そして。



~♪~♪~♪


「え!?この曲!?」



「うん。俺、奏のいない間、ずーっと1人で練習しててん!



もし、また会えたなら、奏にバイオリンを弾いてもらいたくて。」



陽輝…。



「ほら、奏のパート始まるで!!」



「うん!!」



~♪~♪~♪



ひける…ひけている…奏、覚えてる!!



この、ハーモニーが大好きだった!



2人で1つのハーモニーが…



そして、この、“バイオリン”が!!



好きで好きで…たまらなかった。



奏でているこの瞬間が大好きだった。



それを思い出させてくれた陽輝。



ありがとう…ありがとうっ!



こんな言葉じゃ表わすことなんて出来ないけど…



奏、今、すっごく幸せだ!!



大好きな人と…大好きな楽器を奏て…



陽輝…ほんとうに…、ありがとう!!
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