奏でる場所~SecretMelody~
「男子はピアノの左側、女子は右側に4列横隊で並んでー。米原さんは後ろにあるライトアップピアノで練習しといてね。じゃあ楽譜を配ります。」



支持どうりに並ぶと、前から楽譜が配られた。



俺はもらった瞬間にパッと曲に目を通す。



うわっ…。何この曲!?



さすが高校…。



音符の並びが複雑すぎてどんな曲か全くイメージわけへん…。



てか絶対ピアノ、ムズいわ…。



奏、弾かれへんやろ…。



すると、奏がピアノを触りだす。



ドードー…♪


ドレミファソラシドー♪


何度か音合わせをしている。



これは…無理やな。



俺は自分の楽譜に目を戻し歌詞を見る。



その瞬間、



~♪~♪~♪


え!?!?



クラスメイト、全員も奏に目をやる。



奏は楽譜をジッと見つめ、両手でスラスラと弾いている。



一度も止まることなくなめらかに。



そして、そのメロディーは優しく、頭の中をスッと通り抜けていくような、そんな音だった。



――――あの、音楽室の女の人の音と、弾き方が…似てへん?



…気のせいか?



でも、それにしてのもいきなり1回も間違えずに弾くなんて、そうとうなピアノ好きか、あるいは練習を毎日のようにやっている人でしか出来ひんよな…。



てゆーか、すごいわ…。



奏がピアノ得意なんてめちゃ意外や。



「もー…皆、ちゃんと歌う!米原さんに見とれない!!」



俺は歌いながらもずっと奏のピアノに耳をかたむけ続けた。
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