きみに会える場所~空の上ホテル~
奇跡の子
そこにいるみんながレイを見つめていた。

さっきまで青白かったレイの頬が、少し紅潮していた。

「なんでもっと早く話してくれなかったんだ?!」

レイの目がきゅっとつりあがっていた。カナタさんとサキさんが少しあわてていた。

カナタさんが咳払いをした。

「なんでって・・・・・まだちょっと早いかなと思って。なあ、サキ?」

サキさんも小刻みにうなずいている。

「・・・・・・ったく、ガキ扱いすんなよな。おれ、もうすぐ17だぜ?!」

「その・・・・・・お母さんの後を追って上に行っちゃったら困るなあって思ったし」

「そんな短絡的なことするかよ」

ふくれっ面のレイの前で、カナタさんとサキさんがしどろもどろになっている。

私は思わずくすくすと笑った。

三人がこっちを向いた。

「何だよ?!」

レイがにらみをきかせた。そんなにすごんでも平気だよ。まだ顔が赤いよ、レイ。

「若いパパとママと大きな息子さんって感じ?!」

言ってから気がついた。きっとレイが小さい時は、カナタさんとサキさんが親代わりだったんだろうな。お兄さんとお姉さんじゃなくて。

「なっ、何言ってんだよ、お前」

レイがますます赤くなった。カナタさんはしきりに髪をかいてるし、サキさんなんてちょっとうるうるしてる。

「まあまあ、照れなくてもいいじゃない。お母さんもいい人だったってわかったことだし、一件落着ってことで」

私は調子に乗って、ぽんぽんとレイの背中をたたいた。

レイはどう返すべきか考えているようだった。少ししてから苦笑まじりに言った。

「何でお前が仕切ってんだよ」

カナタさんとサキさんが笑った。その場の空気がふっと軽くなった。



自分の部屋に帰ってシャワーを浴びながら考えた。

レイはお母さんのことでまだ気になることがあるのかな。何となくそんな気がした。

でもとにかく、今日はぐっすり寝よう。

きっとレイも昨日よりはすっきりして眠れるはず。そう思うと、ひとりでに笑みが浮かんだ。

ベッドに横になると、あっという間に私は眠りに落ちた。



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