きみに会える場所~空の上ホテル~
眠りから覚めて
図書館で目を覚ましたら、もう夕方だった。

カウンターにいた図書委員の子は、私が起きたのを見て明らかにほっとしていた。

あー、もう閉館かあ。

思い切り伸びをして立ち上がる。いすがガガッと音を立てた。

となりのいすに置いていた手提げをつかむと、本を棚に戻してそそくさと図書館を出た。

結局、何も読まなかった。昼寝しに来たみたいなものだった。

春の夕暮れはまだちょっぴり寒い。昼間の暖かさが嘘みたい。マフラー、家に置いてくるんじゃなかったなあ。

私は自分で自分のひじを抱きかかえるようにしてバス停へ急いだ。

学園から歩いて五分のところにある「青葉学園前」から、「花畑団地北口」までバスで30分。

電車を乗り継いで一時間かけて通学する人もたくさんいるから、私の家はまあまあ近い方だと思う。

バス停に着いたらちょうどバスが来た。ほっとして乗り込む。

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