祈りの月
 当時、ティルシアには、地球人たちがこぞって移住してきた。

 地球と似た雰囲気を持つこの惑星は、他の移住先に比べて、人気があったという。

 ティルア人は、地球からの移住民を快く受け入れた。

 それと共に、地球からは、さまざまなものが持ち込まれた。
 
 文化、文明、産業・・・・・・。

 もともと太陽エネルギーを主にしていたティルシアは、地球流の開発によって、著しい環境の変化を遂げることとなった。

 それまで、ほとんど未開だったのだ、この惑星は。

 その進度はすさまじく、ティルシアの環境はどんどん変化を遂げた。

 しかも悪い方向へと――。

 それこそ地球が百年単位で進めてきた環境汚染が、数年でティルシアに同じように現れ始めたのだ。

 ティルシアの環境の悪化という事態を、地球政府は深刻に受けとめた。

 ・・・・・・自然は、守られなければならない。 

 自分たちの故郷のように取り返しがつかなくなる前に。

 対策は素早かった。

 自分たちの星のように取り返しが付かなくなる前に、政府は環境汚染の研究施設を設置、研究員の育成に力を注いだのである・・・・・・。



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