祈りの月
第6章~迷い
――10日後には、レイアの存在は研究所の大きな話題になっていた。
昼間のほとんどの時間を、レイアは研究所近くの浅瀬で過ごすようになっていたから、噂になるのも当然だった。
最近では、どこから広まったのか、研究所に関係のない人々まで見物に訪れるようになっていた。
「・・・・・・レイア、大丈夫かな?」
カイ専用の研究室へ入ってくるなり、ドゥリーが口にしたのはそれだった。狭い部屋なので、二人いると少し窮屈に感じる。
カイは顕微鏡をのぞく手を止め、ドゥリーを振り仰いだ。
「何が?」
「・・・何がって、」
あいかわらず所内の噂に疎いカイの様子に、ドゥリーはあきれた様にため息をつく。
「本当に何も耳に入ってないのか?」
「何も」
「まったく・・・・・・レイアは絶滅したはずのイルカなんだぞ。普通に考えたら、保護すべきだろ? そういう話」
言いながら、ドゥリーは顎で軽く窓の外を指した。
窓の向こうに広がる海岸では、イルカを一目見ようという人だかりが出来ている。
一般人に混ざって、白衣姿の研究員も数人見えた。
昼間のほとんどの時間を、レイアは研究所近くの浅瀬で過ごすようになっていたから、噂になるのも当然だった。
最近では、どこから広まったのか、研究所に関係のない人々まで見物に訪れるようになっていた。
「・・・・・・レイア、大丈夫かな?」
カイ専用の研究室へ入ってくるなり、ドゥリーが口にしたのはそれだった。狭い部屋なので、二人いると少し窮屈に感じる。
カイは顕微鏡をのぞく手を止め、ドゥリーを振り仰いだ。
「何が?」
「・・・何がって、」
あいかわらず所内の噂に疎いカイの様子に、ドゥリーはあきれた様にため息をつく。
「本当に何も耳に入ってないのか?」
「何も」
「まったく・・・・・・レイアは絶滅したはずのイルカなんだぞ。普通に考えたら、保護すべきだろ? そういう話」
言いながら、ドゥリーは顎で軽く窓の外を指した。
窓の向こうに広がる海岸では、イルカを一目見ようという人だかりが出来ている。
一般人に混ざって、白衣姿の研究員も数人見えた。