祈りの月
第7章~真実の在りか
   ざあぁぁあん・・・

         ざあぁぁあん・・・・・・


 繰り返す海のざわめきを聞きながら、カイはレイアが訪れるのを待っていた。

 夜の闇に揺れる海を、睨むように強く見つめている。

 ―ふと。

 背後に気配を感じて振り返る。

 海風に流される黒髪を片手で押さえながら、レイアが立っていた。

「カイ・・・」

「レイア、君以外のイルカはどうしてるんだ? どこにいる?」

 レイアの言葉を強引に遮って、カイはずっと暖め続けていた疑問を真っ直ぐに彼女にぶつけた。

「―」

 レイアの顔からぎこちなく表情が消えた。眼差しが翳り、視線が逸らされる。

 その表情に、カイは予感が的中してしまったことを悟る。

「答えてくれ」

 カイの真剣な視線に射抜かれたように、レイアは瞬きもせずにカイを見つめ返した。

「レイア」

 促しの言葉に、レイアは長く、息を吐き出す。

「私、だけよ。・・・仲間はいないの。長い間、海を泳ぎまわって探したけれど、見つからなかった」

「そんな―」

 カイは愕然として言葉を失った。
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