祈りの月
(・・・・・・ティルアの月・・・・・・俺は・・・・・・)

 カイは全てから守るようにレイアを両腕で抱きしめ、心の中で、月に語りかけていた。


 奇跡を起こすという、美しい天空の司に――。




 レイアが生きてさえいてくれればいい。

 彼女が生きていてくれるなら。




 (たぶん、俺には、それしか方法がないんだ・・・・・・)

 カイに選択肢は少ししかない。

 あまりにも力のない自分を痛感する。

 だから、カイは選ぶしかない。

 ――それが、たとえ彼女の自由を奪うことになっても・・・・・・。

 カイは一つの決意を胸に、雨の中、海の上でぼんやりと輝く美しい金色の月を見つめていた。
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