祈りの月
第2章~レイア
夜の海が、カイは好きだった。
空の星や月を閉じ込めるようにきらめく、漆黒の闇色の海。
ざぁぁぁあん・・・・・・きっと太古から永遠に変わらずに、繰り返される、波の音。
「今日は満月か・・・・・・」
空を見上げる。
大きな銀色の月明かりが、白い砂浜に差し込んで、砂の細かい結晶がキラキラ反射して、いつもよりも明るい。
ティルアの月は、地球のより大きいと聞いた事がある。もっとも、地球を知らないカイに真偽の程は分からないけれど・・・・・・。
(――地球の海もこんな色なのかな)
ふと、そんな考えが頭をよぎった。
地球に思いを馳せることは滅多にないが、先ほどのドゥリーとの会話が尾を引いているのかもしれない。
感傷的になっている・・・・・・。
砂浜に座り込んだカイの傍らには、からっぽになった水槽が転がっている。
魚たちは、海へ戻した。
土の中に、埋めてしまうよりは、そうしてあげた方がいいような気がして・・・・・・。
まだ、決めてはいないと、ドゥリーに言ったものの、ほんとうのところ、地球へは帰っても良かったのだ、事情だけ考えれば。
ドゥリーと同じように、カイの家族は帰還許可が出てすぐに地球へ旅立ってしまっていたし、カイにはティルシアに住むには『辛い理由』があった。
――ここにいる限り、忘れられない『傷』がカイにはある。
空の星や月を閉じ込めるようにきらめく、漆黒の闇色の海。
ざぁぁぁあん・・・・・・きっと太古から永遠に変わらずに、繰り返される、波の音。
「今日は満月か・・・・・・」
空を見上げる。
大きな銀色の月明かりが、白い砂浜に差し込んで、砂の細かい結晶がキラキラ反射して、いつもよりも明るい。
ティルアの月は、地球のより大きいと聞いた事がある。もっとも、地球を知らないカイに真偽の程は分からないけれど・・・・・・。
(――地球の海もこんな色なのかな)
ふと、そんな考えが頭をよぎった。
地球に思いを馳せることは滅多にないが、先ほどのドゥリーとの会話が尾を引いているのかもしれない。
感傷的になっている・・・・・・。
砂浜に座り込んだカイの傍らには、からっぽになった水槽が転がっている。
魚たちは、海へ戻した。
土の中に、埋めてしまうよりは、そうしてあげた方がいいような気がして・・・・・・。
まだ、決めてはいないと、ドゥリーに言ったものの、ほんとうのところ、地球へは帰っても良かったのだ、事情だけ考えれば。
ドゥリーと同じように、カイの家族は帰還許可が出てすぐに地球へ旅立ってしまっていたし、カイにはティルシアに住むには『辛い理由』があった。
――ここにいる限り、忘れられない『傷』がカイにはある。