ハッピーエンドの描き方
背が高く、ある映画で披露した肉体美は、ファンクラブの会員数を一気に二倍にしたと言われている。

朝のエンタメニュースコーナーでよく披露される話だ。

欧米系のハーフか何かで、顔立ちも日本人のものとは少し違う。

私が言いたいのは、アメリカのドラマや映画に出ても、それほど違和感がないということだ。


「かっこいい人だと思いますけど」

「演技は?」


私は思わず眉を顰めた。

今までは映画の感想を聞かれるだけだったが、なんでこの俳優に執着するのだろう。

そういえば、どことなく面影が似ているような、似ていないような……。


「私はそこまで演技に詳しい訳じゃないんですって」

「いいんだ。 

君の感想には説得力がある。 

君が見て、どう思ったのかを教えてほしい」

「俳優志望なんですか?」


彼は意味ありげにほほ笑んだだけだった。

とにかく、何か言えば満足してくれるだろうと思い、思い立ったことを口に出してみた。


「いい俳優さんだと思いますよ。 

すごく役に入り込みますよね。 

すごくお金持ちだし、何も困ることなんかないんだろうけど、

極貧の役をやらせても結構似合うっていうか。 

でも、いつもいい人の役ばっかじゃないですか。 

そのうち飽きられちゃうかもしれませんね」


緊張していなかった、と言ったら嘘になる。

サングラスの向こうから、彼は間違いなく私を見つめていた。

ほのかに赤くなった顔を誤魔化すように、私の口調は加速し、最終的に暴走を始めてしまった。


「大体、この俳優さんだって、かっこよくて人気があるから色んなドラマに出ているだけで。

きっと、他のアイドルと同じようにすぐ過去の人になっちゃうかもしれないですよ」
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