アンブレラ☂
―――ドンドンドンッ…
私は必死で家のドアを叩いた。
でも、家には人の気配すらなかった。
「どうしてっ…開けてよっ…開けてッ!!」
そんな必死になって雨でびしょびしょに
濡れた私の前を近所のおばあちゃんが
通りかかって私の方に近づいてきた。
「あんた、見かけん顔だねぇ。よそ者かい?
そこの木村さんなら1年前に引っ越されたよ。家だけは残ったままだけどねぇ…。」
その言葉を聞いて目の前の希望が
真っ暗になった。家族なら私の事を
覚えてくれていると思ったのに…
…………何でなんだよ…。