籠の中
僕は禁煙を解禁した。鞄から今では不必要な書類を掻き分け、財布を取りだした。煙草屋の番台に座っている老婆に小銭を手渡した。マルボロライトと百円ライターを購入した。早速、喫煙スペースで煙草の穂先に火を点け肺一杯に煙を吸い込む。そして吐き出す。久々すぎて頭が波間を漂っているような錯覚に陥った。今日という日ぐらい漂う感じの方がいいのかもしれない。二度、三度と勢いよく肺に煙を吸い込み、吐き、あっという間に一本の煙草は終わりを告げた。そういえば僕はチェーンスモーカーだったな、と思った。