籠の中
 「ああ、そうでしたね。食べるのに夢中で忘れてました。すみません」
「僕の方こそ」
 煙草に火を点けた。「こっちから見ると線香花火みたい」と彼女は言いか、カフェオレをストローで吸った。
「僕は君のことを何も知らない」
 彼女はストローを噛みながらゆっくりと僕を見据えた。
「でしょうね。何が知りたいですか。スリーサイズ?それとも産業廃棄物の問題?それおとも企業買収?」
 一拍置いて、「それとも私の全て?」と付け加えた。
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