籠の中
 彼女が生唾を呑み込むのがわかった。そして、
「それは、希が私の姉だからです」
 さっきまでの陽気さを殺しドライな口調だった。
 僕は煙草を持ちながら、時が止まった。
 妹?
 それは、おかしい話だ。彼女は、いや希には妹がいないはずだ。一人ッ子のはずだ。
< 139 / 203 >

この作品をシェア

pagetop