籠の中
「妹はいたんです。なぜなら私はひきこもりで外界から遮断されていたから。お姉ちゃんは隠すつもりはなかったと思います。でもあの頃の私は、心を閉ざしていました」
 彼女の告白を、静かに聞いた。話を聞くという行為がこんなにも労力を使うものだとは思わなかった。 
「君に、何があったんだい」
 煙草を消した。なぜか吸いながら聞くのは失礼な気がしたからだ。
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