籠の中

　彼女は仔細なく語り出した。
　それは陰湿なイジメが原因らしいことが僕ですらわかった。
　希に似て、由美も美人の部類に入る。それを快く思わないものがいたのだろう。もちろんその快く思わないものは最初は一人だったはずだ。なぜ、あの子だけチヤホヤされるの、なぜ、あの子だけ、なぜ、あの子だけ、こんな思いに駆られたのではないだろうか。一人では、由美という牙城を崩すことができないとわかり、その首謀者は徐々に仲間を増やしていったはずだ。そして由美にとって過酷なイジメ生活が始まった。そして由美は心を病んだ。それが小学五年から始まり中学も運悪く同じになってしまい中学校三年まで続いた。中学三年の二学期から学校に行かなくなり、もちろん高校にも行かなかった。義務教育ということもあるのと、学業の成績もよかったので卒業は比較的容易だったとのことだ。