籠の中
 彼女とも次第に疎遠になっていった。
 というのも彼女は彼女で責任ある立場に抜擢され、仕事が忙しくなったのが現状だ。それはそれで嬉しくもあるが、複雑な心情だ。僕は何も社会の役には立ってはいないし、彼女の役にも立っていない。
 このままでいいのだろうか、という疑念が常に頭をよぎる。確信された保証がないまま過ごし、合格の保証もない。常に不安だ。その不安を誰に吐露するべきだろう。
< 146 / 203 >

この作品をシェア

pagetop