籠の中
「待つ?」
「うん。今は決して良い流れではないと思うの。そういうときに無理に抗っても状況は好転しないわ。時期が来るまで待つしかないのよ。じっと、じっと、じっと」 
 彼女は寝息を立てた。それは耳を澄まさないと聞こえないぐらい小さな寝息だった。
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