籠の中
 彼女は天井を見上げ、姉が好きだった曲、と独り言のように呟いた。
 あの頃と変わらない音。狂気とも思えるピアノとバイオリンの兼ね合い。この曲が流れてからというもの僕ら二人を悲しみの衣が纏わり付いた。
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