籠の中
「うん。できば理由を聞かせて欲しいな」
「理由と言われても困るんだけど、可愛いのよ、彼」
「かわいい」
「そう、可愛いの。それに彼のドラミングは少なからず過小評価されてると思うわ。正確無比なリズム、強弱、緩急の付け方。彼がベストよ」
 彼女が喋る度に熱い吐息が掛け湯のようにふりかかった。
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