籠の中
 妹の部屋からビートルズの『HELP』が聴こえた。昔なら、「助けて」と叫んだことだろう。そして少なからず共感を抱いたはずだ。それでも今の僕には気持ちよく彼らの音楽が体内に染み渡って行く。
 妹の部屋が開いた。
「お兄ちゃん。オムレツ作ってよ」
 そこには妹の笑顔があった。
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