籠の中
鳴った電話から
 携帯電話が鳴った。着信画面を見ると、『公衆電話』からになっていた。僕は通話ボタンを押し、
「もしもし」
 その後三回ほど呼びかけたが応答がなかった。時間は六時一分。こんな時間にイタズラ電話とは根性がある。それに僕と同じでそれなりに早起きだ。切ろうとしたとき、
「もし、もし」 
 もし、の間に休符を置いた。次のメロディに向うかのように。
 
< 20 / 203 >

この作品をシェア

pagetop