籠の中
 電話相手に思考を戻した。
「すみません。どなたでしょうか?」
 僕はおそるおそる訊いた。
「高津さんですか?」
 女は少し低い声で言った。
 とても好感を抱く声だと僕は、思った。コールセンターにいたら何時間でも話をしたいタイプだ。
< 22 / 203 >

この作品をシェア

pagetop