籠の中
「失礼でなければ名前を伺ってもよろしいでしょか?」
「由美。佐川由美。思い出した?」
女は名乗ったが、僕には心当たりがなかった。ユミ、サガワ、この姓名に関わった記憶が僕にはない。今までの人生ですれ違ったこともなければ、もちろん仕事、学校でも会ったことない。この完全なる勘違いを受け入れるべきか、拒否するべきか迷った。なぜなら僕は二者択一が得意ではない。選択をよぎなくされる現代社会において、これは致命的な欠陥でもある。左右に分かれてる道、どらに進むと問われるなら間違いなく直進するタイプが、僕である。
「由美。佐川由美。思い出した?」
女は名乗ったが、僕には心当たりがなかった。ユミ、サガワ、この姓名に関わった記憶が僕にはない。今までの人生ですれ違ったこともなければ、もちろん仕事、学校でも会ったことない。この完全なる勘違いを受け入れるべきか、拒否するべきか迷った。なぜなら僕は二者択一が得意ではない。選択をよぎなくされる現代社会において、これは致命的な欠陥でもある。左右に分かれてる道、どらに進むと問われるなら間違いなく直進するタイプが、僕である。