籠の中
「なるほど。となるとその時期が来れば」
「そういうことね」
 漬物を食べたような、あっさりとした口調だった。
「お兄ちゃん、ビートルズ好きだよね?」
 妹が僕に確認をした。
「ああ、好きだね。特に『HELP』が」
「ヘルプ!ヘルプ!」
 妹が『HELP』の冒頭を口ずさんだ。
「いきなりどうした?」
 僕は疑問を口にした。
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