籠の中
土手沿いに面した所に火葬場があった。もちろんたくさんの墓があり、ここに両親の墓もある。朝からいい気分はしないが、歩かないと前には進まない。千住新橋を渡った。空を見上げれば雲一つない快晴だった。遠くの方に、うっすらと富士山が垣間見えた。耳にイヤホンを付け、iPodで曲を聴きながら歩く。こういう一日のスタートともいいなと思った。がむしゃらに司法試験を目指していた時は、音楽を楽しむ余裕さえなかった。