籠の中
 気づけば僕は橋を渡りきっていた。朝からそれなりの体力を消耗し、それなりに喉が渇いた。だが、まだ道は続く。人生の道が続くように。左方向を曲がり土手沿いを歩く。右手には図書館があった。僕は時計を見た。八時十五分だった。そんな時間から図書館が開いているわけもないのに、暇を持て余した老人達が煙草をふかしながら、いまかいまかと図書館が開くのを待っていた。
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