籠の中
「わたしだ」
 僕の耳にゾウの鳴き声のような図太い声が響いた。電話の主は社長だった。正確には元社長である。もう、どんな理由があれ僕の社長ではない。
「はい。この状況は一体どういうことでしょうか」
 僕は冷静さを保ちながらも怒りが声に滲んでいるのを感じた。
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