籠の中
「なぜピアノ三重奏曲なんだい?」
 僕は、スナック菓子をつまみ彼女に視線を向けた。
「気だるい午後に聴くには申し分ないわ」
 彼女は、さらっと言った。砂浜を歩いてるかのようだった。
「気だるい」
「うん。そういう時はベートーベンやシューベルトが最適だわ」
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