籠の中
 彼女の言葉に導かれるように、ベートーヴェン/ピアノ三重奏曲第7番「大公」第1楽章が流れだした。とてもメロディアスなピアノタッチだった。それでいてどこか気分が明るくなる。ここぞというタイミングで絡まってくるヴァイオリン、チェロが絶妙な色合いを融合させ、素敵な彩りを心に植えつける。たしかに気だるい午後には最適かもしれないと、僕は思った。
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