籠の中
「クラシックというのは緩急のつけ方が綺麗だね」
「リンゴ・スターのように」
「うん。彼のドラミングのように」
「好きよ」
 突然、彼女は言い僕の首に腕を回した。酔っているようだ。首から始まり耳に額に口に彼女の吐息混じりの息が決められたルートにかかった。蟻が巣からのルートを見失わないようにマーキングをするように、彼女も息を僕のポイントにマーキングしていった。官ビールをそれなりの本数を飲んだこともあり僕の下半身は融通が効かなくなっていた。徐々に膨張するのが僕にはわかった。それを水晶玉のように彼女が撫で回した。
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