籠の中
時間にして三十分ぐらいであろうか、彼女が戻って来た。息を少し乱していた。手にはCDが握られていた。バッグには入れず、素手で持っているということは余程急いで持ってきたということが伺える。僕は、彼女の息を落ち着かせようと、急須の茶っ葉を新しいものに変え湯のみにお茶を注いだ。とても熱いお茶だ。湯気からそれが伝わってくる。さらにはお茶を飲んだ彼女の、あつっ、という声や表情からも伺えた。