籠の中
「コーラス?」
 僕は彼女に訊いた。彼女はシッと口に人さし指をつけ、軽く頷いた。
 その音には世界観が反映されていた。モーツァルトの人生、いや死期が近づくのを悟り、その胸の内を外側に楽譜に楽器に込めているかのような壮大なスケールだった。
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