Wilde

如月幸太郎

ージャリ…ジャリ…

強い風が吹き、激しく砂埃が舞う。
その中から、一人の男が地面を踏みしめながら…現れた。

黒い革ジャンにスウェットをはくというアンバランスな格好をしながらも、
その男からはなにか偉大なオーラが出ていた。

背景に大きな車庫が建つだけで、何もないコンクリートの空き地。
そのど真ん中に、男ー如月幸太郎は立った。

「……やっと来たか…

…如月幸太郎!!」
坊主頭の男が、声を荒げた。

如月幸太郎はゆっくりと顔を上げた。
長い髪の隙間から、口角の上がった口がちらりと見えた。

「んな数で勝てるとでも思ってんのか!?こっちは20だぞ!!」
あざ笑う声が幸太郎を包む。
「20:1とは、ずいぶん幸太郎は頑張るんだなぁ…まぁ、命は無いと思え

……いくぞ。」


幸太郎を取り囲んでいた男たちは、いっせいに幸太郎へと突撃していった。


数分後ー
幸太郎以外に立ち上がっている者はいなかった。