Wilde

「じゃあ、沙織。
バイト頑張ってね」
『うん。ありがと』

あたし達は駅の前で別れた。
いつもこんな感じ。

2人で放課後遅くまで学校で話して、学校をでてからもだらだら歩きながらふざけあったり、真剣な話をしたり…
時にはコンビニに寄ることもある。

毎日毎日楽しめてるのは、
瑠花がいるおかげだからだと思う。
ノリがいいし、あたしの相談とか真面目に聞いてくれるし、辛い時は助けてくれる。
対してあたしも、沙織の相談は聞いてあげるし、辛そうなときは力になってあげる。
お互い支え合ってるんだなぁって、いつも思う。

駅に歩いていった沙織の後姿を見送ったあと、あたしは駅から逆の方向に歩いた。

駅の近くにあるファミリーレストラン。
ここがあたしのアルバイト先。

ファミリーレストランには、いつもいろいろなお客さんが来る。
家族できたり、親戚を連れて来たり、
部活帰りの男子中学生だったり、勉強道具を持った大学生まで来たりする。

あたしの仕事はオーダーをとったり
テーブルに料理を運んだりすることだから、どんなお客さんが来たのか、見ることが少し楽しみになってる。

でも時には失敗しちゃって、
苦情を言われたり、上司に怒られちゃったりする。
その時は、“次からはこんな失敗しないようにしよう”ってあたしなりに反省してる。

だけど上司の人も同期の人もみんな優しくて、わからない仕事を何でも教えてくれたり、仕事が終わったあとにジュースをおごってくれたり…
頼りになる人ばっかりだから…
あたしも足手まといにならないように頑張らなきゃって思ってる。
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