誰より君を・・・・・・
「太一!おかえり!」


声で誰かはわかった。振り向いたその先には、無神経に彼氏と歩く莉奈がいた。



「お~おつかれ」


振り向いた俺に、そいつは軽く頭をさげた。



「あっ。高野くん。友達の太一」


お互いを紹介する莉奈に腹が立った。


友達って言葉がこんなにも腹立たしく聞こえたのは初めてだ。


「彼氏?」


「あっ・・・・・・うん」


「ふ~ん。あっ俺こうつの幼馴染でこんなちっちゃい頃から知ってて。こいつが分かんなくなったら何でも相談して。性格とか大体のことは知ってるから」



そう言いながら俺だけが今言ったことが負け惜しみのように聞こえていた。


「あっ俺こっち」


何も用はないのに方向を変え2人と別れた。



散々町をふらついて、家に帰ると莉奈の部屋の明かりが見えた。



携帯の番号をぼんやり眺め、それを押せない自分がいた。



通話中の音に落胆するのが怖いんだ。



情けねぇ。















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