精霊たちの王冠《王国編》
「………ど……うしたの二人共。」
困惑するリアナとは違い、カルスとリゼルは何かを察しているようで、何も説明せずともお互い視線を交わすだけで理解し合っていた。
「リゼル………」
「ああ、分かってる。気を付けろよ」
そう言うと、カルスとリゼルは今さっき収穫した獲物と薪をその場に下ろし、身軽になったリゼルはリアナが持っていた籠を持つと同じように地面に置いた。
「リゼル………?」
二人のただならぬ雰囲気に、リアナは疑問をぶつけたいのだが、それを口にしてしまうと何かが壊れてしまうような気がして、言葉にする事が出来なかった。
その間にも何かが燃えた匂いと村から聞こえる声は更に強まって、リアナにもはっきりと分かった。
それはこの数年の間何度も感じたもの。
生き物が焼ける匂いと、人々の叫び声と怒声。
それを理解した瞬間、リアナに恐怖と震えが襲った。
しかし、それ以上に恐怖したのは、腰に付けていた剣を抜き村へ向かおうとするカルスの姿……。
リアナは脇目も振らずカルスの抱き付いた。