精霊たちの王冠《王国編》
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「よし、そろそろ帰るぞ。
大分遠くまで来ちゃったから早く帰らないと親父に怒鳴られるな」
「そうだな、急ごう」
「ピア行くよー」
「キュウ」
リアナが手を差し出すとピアは手を伝って肩に登り、自分の定位置へと腰を下ろした。
リアナは山菜や茸が沢山入った籠、カルスは両手に仕留めた野鳥を持ち、リゼルは火を起こす為の薪を抱えて村へと急ぐ。
暗くなれば、森は狼などの野生動物が動き回り危険になるので、自然と三人の足も早くなる。
辺りが薄暗くなり始めた頃には、村の目と鼻の先まで戻れた。
暗くなる前に戻れて、ほっと胸をなで下ろしたリアナだったが、カルスが何かに気付き足を止める。
「どうしたの?カルス」
「………何か焼ける匂いがしないか?
それに、村がやけに騒がしいな」
「また誰かがレナお婆さんに叱られてるんじゃないの?
それに、もう夕食時なんだから焼けた匂いは仕方が無いよ」
早く帰ろうっとリアナが足を進めようとしたが、リゼルが手を掴みそれを止める。
どうして止めるんだと、リアナはリゼルに文句を言おうと顔を上げたが、あまりに真剣で恐い顔のリゼルにリアナは何も言えず、助けを求めようとカルスに視線を向けるが、カルスもまた村の方向を鋭く睨みつけていた。