ね、先輩。
だけど――


「やっぱり先輩だっ!」


なんて、あの頃大好きだった笑顔を向けながらそう言われると、私の心臓はそれに反応するようにバクバクと激しく動き始める。

この静かな空間だと、彼にこの音が届いてしまうんじゃないかと思ってしまう。

その思いが、またその音を大きくさせてしまったんだけれど。

そんな音と戦っている私をよそに、彼は


「先輩、すっげー綺麗になったね」


なんて言うから、今度は頬までじわりじわりと熱くなっていく。


「先輩の顔、真っ赤。めちゃめちゃ可愛い。俺、すっげーどきどきしてる」


さらに追い討ちをかけるようにそう言う彼に、私は何も言えなくなってしまった。
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