ね、先輩。
「ね、先輩……触ってもいい?」


彼はそう訊いてきたくせに、私の答えは聞かずに頬に手を伸ばしてくる。


「だめっ」


ほんとはその大きな手で私に触れてほしいと思ってる。でもそれを止めているのは――


「彼氏、いるの?」


彼の想像通り、彼氏の存在だった。

黙りこくってしまった私を見て、彼はそれを肯定ととったらしい。それでも


「俺には、関係ない」


そう言って、伸ばした大きな手で私の頬をすっぽりと包んでしまった。
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